意外な強力硬貨洗浄液

財布の中にいわゆるギザ10を久しぶりに見つけた。昭和30年鋳造なので今年で50年目と云う事になる。理由は自分でも不明なのだが、こいつを綺麗に磨いて、ピカピカのギザ10にして見たい、と、ふと思ったのであった。
ピカールを使ってひたすら擦り磨きが普通なのだろうが、この古参兵が纏う半世紀に亙る汚れはなかなかに手強そうである。何かしら洗剤で、浸け置き洗浄出来ないか。色々と試してみた。ワイドマジックリン、ルックパイプマン、おふろのルック。いづれも効果はなかった。そんな中で意外なあるものが絶大な効果を発揮する事を発見した。軽い汚れなら30分位から、今回の様なガンコな汚れでも5、6時間で、見事な位に地金が現れる。TV通販で実演したら大受けしそうな、この『あるもの』とは?勿体振ってしまった。タネを明かそう。答えはなんと、「ワイン」である。洗剤でダメな汚れが飲料で見事に洗浄されると云う、伊東家にタレコミたくなる様なネタである。

どんな理由でこうなるのかは判らない。焼酎でも試したが全く効果がなかったので、アルコールの作用ではなかろう。個人的には酸化防止剤成分の亜硫酸塩が作用しているのではと思うが、推測の域を出ない。ただはっきり云って、ワインはもう恐ろしくて呑む気がしない。川島なお美の血液だけは輸血して欲しくないモノである。なお、使用したのは正確には、捨てるのを忘れてた『ワインの古い呑み残し』である。半年ほど常温放置されているうちに何かしらの成分が合成されたのやもしれぬ。今回の結果からワインが人体にどう作用するか、判断と対処については個人の自由であり責任である。

浸け置きされた硬貨は地金が露出するだけなので、ピカピカにはならない。例えるなら1円玉の様な、アルマイト調の表面になる。鋳造年代が新しいものであれば、表面の荒れが少ないため浸け置きだけでそこそこの光沢が出るのだが、ギザ10クラスの老兵になると、光沢を出す為にはピカールによる研磨工程は不可欠の様だ。


半世紀分の垢を落とし、新品以上にピカピカになったたギザ10は、また戦場へと送り出した。高度成長、オイルショック円高、バブル、そして失われた10年。日本経済の栄光と挫折の生き証人は、あとどれだけ世間で生き延びるだろうか。

but I still remember the refrain of one of the most popular barracks ballads of that day which proclaimed most proudly that old soldiers never die; they just fade away. And like the old soldier of that ballad, I now close*1 my military career and just fade away, an old soldier who tried to do his duty as God gave him the light to see that duty. Good-bye.

(1951/04/18, Speech by Douglas A. MacArthur)

*1:引用元では「colse」となっているが、typoであろう